"トリム&ラン"からのスペシャルゲスト放送 放送報告

【第48回~福祉×のびのび遊ぶ~】「まだまだ楽しいことはたくさん溢れているんだよ」 NPO法人ワーカーズコレクティブ ちいさなおうち 代表理事 古川幸代さん

2017/07/26

株式会社アイ・サム_ロゴ

 

数週に渡り、身体が不自由でも子どもと一緒でもOKなマラソン大会『さっぽろトリム&ラン+ウォーク』(produced by .株式会社アイ・サム)よりゲストさまが出演してくださっています☆

 

 

第48回ゲスト

 

 

「ガチフク!」第48回目は、NPO法人ワーカーズコレクティブ ちいさなおうちより代表理事 古川幸代さんをゲストにお招きさせていただきました。

 

古川さんは、保育の学校を卒業後、最初は岩見沢にある身体障害者の療育施設に就職。7年勤められた後、御結婚を機に札幌に戻って来られたそうです。そして、子育てに邁進していたところ、高齢者のことや障害者のことの話題に触れる機会があり、“大人でも子どもでも、障害があってもなくても集まれる場所をつくりたい”と思い、11年前にNPO法人立ち上げられたとのことです。

 

 

 

 

 

Change the view!
~福祉×のびのび遊ぶ~

 “自分らしく”はどんどん広く深くなる!

~あの頃のジレンマがあるから
今この事業がある~

 

 

――<平間>古川さんは福祉業界何年目くらいになられるんですか?

 

 

途中の休憩も入れると25年くらいじゃないかなと思います」

 

 

――<平間>最初は障害者施設でケアワーカーをなさっていたんですか?

 

 

「いえ、「生活指導員」という辞令でした。でも、持っている資格は保育士だったので、実務経験3年以上の年数を経て、介護福祉士を受験して資格を取得しました

 

 

――<平間>介護福祉士の大先輩ですね!介護の現場って、今も昔も、利用者さんが朝起きて寝るまで、そして寝た後もたくさんの仕事がある状況だと思うんですけど、25年前の当時の障害者福祉や介護ってどんな感じだったんですか?

 

 

「ちょうど昭和の終わり頃に、当時の介護が問題だねってなりはじめたんです。少人数グループでのユニット型ケアで細やかにその人のリズムで介護してあげればいいね、という兆しのときでした」

 

 

――<平間>結ちゃん、ユニット型ってわかる?

 

 

――<結>わからないです。

 

 

 

――<平間>今はもう福祉業界の人たちにも当たり前の用語になるんだけど、ユニット型の介護・施設っていうのは、“一人の個性ある人間としての生活テンポを尊重した、利用者さんがのびのびとできる少人数の規模での介護”のことです。

大昔の、何千人もが山奥の施設に詰め込まれて12人部屋で雑魚寝させられて・・・っていう時代から変化した概念で、利用者さん8人以下で1グループとしてケアする、という決まりがあったんじゃないかな。施設自体も、“6人部屋が10部屋”などの構造に変化してきたんだよ。

 

 

「私の実際に勤務していたところは、各棟に分かれているつくりでした。私のいた棟は、女性15名と男性15名の重度障害の利用者さんたちがいらっしゃいました。夜勤では、女性15名を一人で担当したりして、2~3人一組の部屋を巡回したり、ナースコールが鳴ったら対応したりしていたんですよ」

 

 

――<平間>え?夜勤で15人を一人で担当していたんですか?

 

 

「そうですよ」

 

 

――<平間>何時から夜勤だったんですか?

 

 

遅番の方が帰る21時から、早番方が来る7時までの10時間です。
今思えば、すごい緊張感ですよね。発作のある方もいたりしたので」

 

 

――<平間>僕も特養(特別養護老人ホーム)にいた時は2名で20名を担当させてもらうという環境で、担当人数の割合的にはほぼ一緒ですけど、一人だけの夜勤ってすごいですよね。
“利用者さんが15人いる=15の人生がその場にある”ってわけなんですから。

 

 

「はい。あと、夜間だという緊張感もあったんですけど、早番の人が来る前に夜勤がやっておかなきゃいけないことへの緊張感もありましたね(笑)
明け方に7:30にご飯を食べましょうっていうときにはそれがピークでした。

あと、その利用者さんの生活ペースを乱して早朝に起きていただいたりしていたことなどに対して、すごく心にジレンマがありました

なので、一人一人のペースに合ったケアがやりたいっていう気持ちから、今のNPO法人での業務が生まれたんです。
その人が"こんなことができたらいいな"ということが事業化するように、ちょっとずつ枝葉が伸びていくように、いろいろなことに取り組んでいます」

 

 

――<平間>素敵な法人!とっても大事なことですよね。
いろんな福祉制度や行政改革とかがありますが、人の意識が変わることが一番大切ですから。

そういう場があって、福祉関係者以外の人と子どもたちが当たり前に触れ合える機会があると、社会の人々の意識が自然に変わるきっかけになるので、すごくいいなって思います。

・・・僕の食いっぷちなくなったらお願いします!(笑)

 

 

「あははははは!(笑)」

 

 

 

 

~ こんなこともあんなこともできたらいいな ~

 

 

――<結>いただいた名刺に記載されている事業内容の一番上が"地域の居場所"っていうのが素敵ですね。

 

 

DSC_5021

 

 

――<平間>わぁ、学べるところがたくさんある!

 

DSC_5022

DSC_5023

 

 

去年、福祉施設をやっている法人向けに一斉送信されたダイレクトメールで、たまたま「さっぽろトリム&ラン」のお話を知ったんです。

「こりゃ凄い!」って胸が躍ったのですけど、その時は参加申込の締切りが過ぎてしまっていたんです・・・こんな凄いことがこれまで10回も開催されていたことも気が付かなかったですし・・・

 

そこで、去年はたまたまNPO法人の10周年だったので、「さっぽろトリム&ラン」の要素を取り入れて、子どもも大人もベビーカーの人もいろんな障がいを持っている子どもたちも参加できる運動会を私たちでもできないかと思って、株式会社ア・イサムの社長さんに相談したんですよ」

 

 

――<平間>なるほど。障がいやハンデがある子どもって、そもそも同じスタートラインに立てていないという場面が多いですもんね。徒競走をやっても、車椅子の子が走ってる子に勝てるはずがないし。学ぶスピードで発達障がいと診断された子と、普通学級に通っている子は、なかなか同じフィールドに立てない。

でも、世の中には同じフィールドに立てるものって探せばいっぱいあるんです。その一つが「さっぽろトリム&ラン」だと僕も思います
スピードレースの部門もあるけど、トリムの部は、自分のタイムを把握している人が勝ち。速ければ勝ちというものじゃない。

 

 

「今年はNPO法人の運動会と日程が重なってしまって残念です・・・」

 

 

 

 

~ 同じ日にみんなで輝きましょうね! ~

 

 

――<平間>発達障がいにもいろんな子どもたちがいますよね。
僕の友達に、ダンス療育を確立したいという想いから、児童発達デイサービスや保育所にダンスを教えに行くイベントをする会社を経営している若い女性の社長さんがいるんです。妖怪体操やヒップホップなどを取り入れたりしていて。

効果として、他の子を叩いちゃう子や爪などで自分を傷つけちゃう子の行為が激減した、といわれているんですよ。ストレス発散の場になるのかな?

発達障がいって、治療でどうにかなるものでもないし、薬に関してもいろいろな意見がある中、“積極的に身体を動かすことを促す”っていうポイントで話を聞かせていただけますか?

 

 

「積極的に身体を動かせるような場面が日々あるといいんだろうな、と思います。運動面の発達障がいは、小学生の体育でもよくあるような、ちょっと運動が苦手だということとはまた違うんですよね。本人の身体の使い方のうまくいかなさや不器用さというのかな?

黙っていられなくて身体が勝手に動いちゃうのだけれども、このように動かしましょうっていうとそのようにはしづらいところがあったりします。例えば、黙っていられなくて言葉よりも先に手が出ちゃうような子も、小学校高学年の子でも、じゃあ相撲するよって言ったら、身体のどこに力を入れたらわからなくて、私でも簡単にコロンって倒せちゃったりするんですよ」

 

 

――<平間>いろんな表現方法ってあると思うんですけど、その表現方法の手段を増やしてあげる働きかけっていうのもまた、その子の楽しめる可能性を増やしてあげることになるはずですよね。

だから運動会っていいですよね。

 

 

「去年、株式会社アイ・サムの会長さんが“大掛かりな機械なんかなくても、こういう方法でみんなが参加できる運動会ができるよ”っていうアドバイスをいろいろくださったんです。
そのアドバイスをもとに、近所の公園で、走る人がいたりゆっくりな歩行の人がいたりするようないろいろなリレーみたいなことをしましょうっていう運動会を10月10日体育の日に企画していたんです。

でも、当日は、雨が降ってきてしまって、気温も雪が降りそうなくらい寒くて・・・。これは赤ちゃんとママは無理だろうということになって、自主事業をやっている「なの花館」っていう古い一軒家をつかって、室内でできることを工夫して運動会をしました
ふすまを開けてさんまつづきにして、そこをサーキットみたいにして、「鮭送り」を室内向けにアレンジしてやったり、お玉リレーしたり」

 

 

――<平間>全力で演出するって福祉の醍醐味じゃないですか?

やっぱり、楽しいことを如何に楽しくつくりだすか、運営・主催側もどれだけ楽しむか、っていうところが大切だと僕は思うんですよね。

 

 

――<結>今年の運動会は、奇しくもというか、惜しくもというか、「さっぽろトリム&ラン」と同じ日程になってしまいましたが、見方を変えれば、エネルギーの波長が合っているみたいで嬉しくもなりますね。

 

 

「はい!是非良天に恵まれるといいですね!」

 

 

――<平間>福祉制度を利用していろんな制限の中で生活している人は、自分の好きなことを好きなときにいくらでもできるって人がやっぱり少ないのが現状で。

子どもは子どもなりに、大人は大人なりに、いつもの生活サイクルがあると思うんですけど、スパイスのようにたまにある特別な機会って、いつものサイクルの活性化になるという意味でもすごく大切だと思います。

 

 

 

 

~ ちいさなおうちで一緒に遊ぼう
スモールステップな優しい毎日 ~

 

 

――<平間>『ちいさなおうち』の由来は?

 

小さいおうち(画像引用元:amazon)

 

 

私の好きな絵本に、『小さいおうち』というアメリカの絵本があるんです。
ある一家が小さいおうちに住んでいるのだけど、年月を経て、おじいちゃんおばあちゃんになって住む人が変わって、周りの古くなった建物がどんどん取り壊されてしまって更地になって開発されて・・・でも、そこに小さいおうちだけはいつまでもいつまでも残っていて、そしてある日通りがかった女の人が・・・という良いお話なんです。

その小さいおうちのように、その場所がいつまでも地域の人に愛される場所になるといいなぁという願いを込めてこの名前にしました」

 

 

――<平間>へぇ~!定員も、午前5名、午後5名と、とても小規模でやられているんですよね?

 

 

「そうなんです。児童発達支援事業の定員はそのように決まっているんです。
そうそう、3階建のマンションの一室を使っているのですが、来た子どもたちが最初に「おっき~い!」って喜ぶのが面白いです。実際は、3LDKの部屋なのでこじんまりとしているんですけど(笑)」

 

 

――<平間>あははははは(笑) 支援員さんの人数は?

 

 

 

「子どもと同じくらいの人数ですよ。
みんなそれぞれ思うがままの子どもたちなので、子どもが5人いるときは支援員も5人いるようにしています。
子どもたちに寄り添ったり、うまく言葉でコミュニケーションが取れない段階の子も多いので、傍にいる支援員が「今使ってたのにね~!返して欲しいよね~!」「いやいや、これは貸せないんだよ」って、子どもの手が出てしまう前に、その子の気持ちを言語化してあげてやりとりしてるのが療育の風景です。アフレコみたいな感じかな。 支援員も一緒に怒ったりもしてます(笑)」

 

 

――<平間>楽しそう!
やっぱり、コミュニケーション取りたいけど取り方がわからないって、大人でもあるんだから、子どもも当然あるじゃないですか。
そこにどう寄り添っていくかって大事ですよね。「それ、こうだよね?」「え?違う?今表情固かったから、俺言ったこと絶対違ったでしょ?」みたいな(笑)

 

 

「そうそう。
ハズレる時もあるんですよ。でも、「あ、ハズレたな」ってわかるんですよね」

 

 

――<平間>「ゴメンゴメンゴメンゴメン!」とか言って(笑)、そこでまたコミュニケーションを生んで。そういうところから、介護や福祉のプロにしかできないことに繋がって行くんですよね。

表情だったり言葉・声だったり、いろんなところにヒントって転がっているし、いつもこのリアクションなのに今日はピクリとも全く反応してくれない、みたいな変化とか
そこから職場のみんなと今後の介護の方向性を話し合ったりするのが当時は僕のやりがいでした。

『ちいさなおうち』では、いろんな子どもたちが集まってきてそれぞれみんながのびのびと遊べる環境とかをつくる場をつくってるんですよね。
どういう配慮を心掛けているんですか?

 

 

「“のびのび遊ぶ”ということが、外で元気に遊ぶとか自分の好きなことをして遊ぶということになるといいなぁと大人は思うんですけど、実際は、「さぁ、広いところで好きなことをしていいよ」っていうと、困ってしまうお子さんが多いんです。

「今日はどこからどこまでで何時から何時まで」っていうように予定が決まっている方が安心、とか、「今日は大きい公園に行ってみよう」って言っても「いや、いつものあの茶の間がいい」って言われたり。

新しいことを喜ばなかったり、もともと知っている方が安心っていう子もいる中で、どれくらい知らないことを「あ、知ってる!それちょっとだけ見たことある!」っていう風になるかなって工夫が大事だと思っています。
一回目は見てていいよ。二回目はちょっと試しに触ってみる?というように、スモールステップでちょっとずつやった気分・知っている気分になることで、それがのびのびっていうか“自分らしく楽しめる・遊べる”ようになっていくといいなと思ってます

 

 

――<平間>楽しくなっていくと同時に自信をつけてもらう働きかけにしていかなきゃいけないじゃないですか。
その子が将来大きくなったとき・どういう人生を送っていくかというようになったときに、やっぱり、その子のペースで成長していけるようなものもつくっていかなきゃいけないのが周りの支援者だったり親御さんの役目だなって。

僕も発達障がいの男の子のヘルパーの現場に一時期入っていたんですが、その子は、いくら綺麗でも明るくても初めて入るトイレが怖くて入れない、という子だったんです。漏らしちゃうほどに初めて入るトイレが苦手で、進学した先の学校とかで困るから、僕らが「このトイレ楽し~い!」ってスキップして出入りしたりして慣れてもらったりしました(笑)

 

 

――<結>その子にとってののびのびっていろいろだって見方もできないのかな?

 

 

――<平間>うん。でも、その子が実際はどこまでのびのびできるかを、その子自身がわかってない場合もあるしね。あ、この前は拒絶してたのに、今はこの遊びすごい楽しんでんじゃん、とかね(笑)

 

 

 

 

 

 

今週のスポットライト!

 エンターテイメント

 

Barrier Free Baroon Party(画像引用元:Barrier Free Baroon Party Facebookページ)

 

 

来る5月28日(日)、キングムーという、怖そうでガラの悪そうな、すすきののクラブで福祉イベントがあります(笑)!

救急救命士、看護士、保育士さんなどが協力してくださり、介護福祉士もボランティアで駆け付けてくれ、道路使用許可をいただいて車椅子トイレも設置し、「北風と太陽」さんという児童発達支援・放課後デイサービスの事業者さんも1つのフロアーをキッズルームに変身させてくれるなど、
キングムーが、障がいを持っていても、車椅子ユーザーでも、お子さんと一緒でも楽しめる、バリアフリー空間になっちゃいます!

 

バリアは環境要因が多いと思います。店員さんの態度だったり、ちょっとした段差や階段だったり。

もし、走り回ってる子がいたら「元気いいね!」くらいで受け止められる環境があって、その風景がどんどん身近になっていったら、発達障害への理解へのきっかけにもなると思うんです。

 

いつものサイクルを頑張れる、たとえ嫌なことがあったとしても頑張れる、その活力になる“楽しみな何か”をつくるのは周りの努力!

是非、お待ちしております☆

 

 

 

 

 

 

今日の新たな方程式!

 「福祉×のびのび遊ぶ
=周りの愛、そして場づくり」
である!

 

――<平間>子どもを思う気持ち、壁を乗り越えれるようにみんなで考える感情って愛だな!って思いました。

 

「福祉っていうと、みんな「えらいことをしている」って、どの世代でもどの対象でも思われているのが現状だと思います。

でも従事して一緒にいる私たちは、“どれだけ楽しめるかな”“笑って帰れればいいな”って素直に考えてるだけなんです。
それが確認できる時間になって本当によかったです」

 

 

 

古川さん、ありがとうございました☆

来週のゲストさまも、身体が不自由でも子どもと一緒でもOKなマラソン大会『さっぽろトリム&ラン+ウォーク』(produced by .株式会社アイ・サム)よりお迎えいたしますので、どうぞお楽しみに☆

株式会社アイ・サム_ロゴ

ガチフク!次回のテーマは!

remember the 福祉×介護

-"トリム&ラン"からのスペシャルゲスト放送, 放送報告