放送報告

【第6回~福祉×飲食~】「結局は、“人対人”としての関係性を築けるかどうか、じゃないかな」 『Bar FeeL』経営者 吉井大輔さん

2017/03/15

第6回

 

「ガチフク!」第6回目は、すすきのの飲食店『Bar FeeL』の経営者である吉井大輔さん(37歳 独身・笑)をゲストにお招きさせていただきました。

吉井さんのお店『Bar FeeL』は、カラオケができたり、ゲームキューブがあったり、吉井さん推しのアーティスト「Baby Metal」のPVが延々と流れていたり・・・と、吉井さん曰く、「barなのかなんなのかわからないですけど、とりあえず飲めます!」とのこと(笑) もちろん、フリーペーパー『車イスで入れる美味しいお店』の協賛店です。車イスユーザーの常連さんもいたりします。現在、オープンして4年目。連日朝・・・を通り越して昼12:00まで営業している、なんとも愉快なお店です。

 

車イスで入れる美味しいお店『Bar FeeL』

Bar FeeL1

 

 

 

Change the view!
~福祉×飲食~

  いらっしゃいませ。
あ、身体不自由なんだね。
で、何飲む?

~ 当事者の声以上に確かな情報はない! ~

――〈平間〉お店の扉を開けてみないと、自分が楽しめるか、楽しめないかは、わからない。これはごく普通のことかもしれません。ところが、せっかくグルメサイトを開いてみても、本当にバリアフリーなのか、そうじゃないのか、実際のところは行ってみないとわからない場合が多い、という現状があります。それというのも、たいていの場合は、当事者の声を情報として掲載しているのではなくて、グルメサイトの営業担当者や飲食店側が自己判断をして情報掲載しているからなんです。

以前、こういうことがありました。車イスユーザーの友達と、とある大型デパートの地下1階にある蕎麦屋に行こうとしたんです。デパートに到着して、エレベーターに乗って、下行きのボタンを押そうとしたら・・・なんと、下行きのボタンがない!化粧品売り場のお姉さんに「地下1階へ行けるエレベーターはどこですか?そこのエレベーターだと下行きのボタンがないんです」と聞いても、「そんなはずはありません。そこのエレベーターをお使いください」と言われてしまって。仕方ないので一緒にエレベーターを確認してもらうと「本当ですね!」と驚いた様子。
そう、これは、蕎麦屋自体はバリアフリーでも、蕎麦屋がテナントとして入っているビル自体がバリアフリーじゃなかった、というパターンだったんです。これでは、車イスユーザーは、せっかくのバリアフリー蕎麦屋に辿り着けません。実は、このような、お店までの導線がバリアフリーなのかどうかのチェックは、当事者じゃないとなかなか気付けないポイントなんです。蕎麦屋は、普段は導線なんか気にしなくても営業できますからね。
でも、もしも、蕎麦屋の店員や化粧品売り場のお姉さんが“エレベーターで地下1階に行けるかどうか”を把握していたら・・・。“多目的トイレがどこにあるのか”や“ビルのエントランスに段差があるかどうか”をすぐ答えられたら・・・。素敵だと思いませんか?そういう些細な配慮ができる人が増えるように、みんなの意識をゆっくりでも変えていきたいんですよね。

少しずつですけど、当事者の人々の居場所が増えてきています。居場所が増えるということは、楽しみの選択肢が増えるということ。今まではチェーン店のハンバーグしか自分の外食の選択肢がないと思い込んでいた人も、是非『車イスで入れる美味しいお店』を見て出掛けてみてください。当事者が実際にお店を利用して得た情報を掲載していますし、協賛店はどのお店も美味しい料理とお酒のある楽しいところです

 

と、本日もスタートから熱い平間氏です。

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~ “そこに行きたい”という気持ちがあるのだったら、
思い切って交渉してみて! ~

――〈平間〉ここで、前回同様に今回も、リスナーさんからいただいた質問を吉井さんにぶつけてみようと思います。

福祉施設職員のKさんより
施設行事で、利用者さんと一緒に、90分の食べ放題バイキングに行ったときのこと。利用者さんには、全盲の方や、歩行の際に手引きや杖が必要な方など、料理を自分で取って来ることができない方もいます。なので、利用者さん一人一人に対し、料理の説明や、焼いたりする調理のお手伝いや、食事介助が必要な状況でした。そうなると、利用者さんにも職員にも、ゆっくりたくさん食べるのに十分な時間がありませんでした。そこで、障がいのある方と一緒に食べ放題やバイキングに行く際には、せめて30分長い120分にして欲しいと思ったのですが・・・」とのことなのですが。

吉井さん、どう思われますか?

 

「“そこに行きたい”のだったら、交渉すべきだと思うな。そして、“そこじゃなくてもいい”のだったら、ストレスを感じにわざわざ出向かなくていいんじゃないかな」

 

――〈平間〉では、“吉井さんに逢いにお店に行きたい”とか“車イスの友達から『Bar FeeL』の話を聞いて、楽しそうだったから自分も行きたい”という人がいたらどうしますか?

 

「そう言ってくれる人がいたら、サービスで融通利かせますよ。でも、誤解して欲しくないのは、“自分は身体が不自由だからサービスしてください”っていう言い分をただ受け入れているというのとは違うということなんだよね。みんな平等にするのが基本だと思うから。“そこに行きたい”のなら“そこのルールに従うのが普通”だと思うしね。
その前提があった上で、“『Bar FeeL』に行きたい”と思って交渉してくれたのなら、たまたま『Bar FeeL』では“人対人なんだから、譲り合いの気持ちで融通利かせますよ”っていう感じかな。「いらっしゃいませ。あ、身体不自由なんだね。で、何飲む?」みたいな感じだけど(笑)」

 

Bar FeeL2

 

 

 

~ 『障害者差別解消法』が施行されたということを知っていましたか? ~

――〈平間〉ところで、吉井さん!『障害者差別解消法(※正式名称:『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律』)』という法律が今年の4月に施行されたということを知っていましたか?

 

「知りません!!!」

 

――〈平間〉そうなんですよ!この法律は、役所や事業者に対して、“「不当な差別的扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求める”という法律で、例えば、「うちの店には車椅子のお客様は入ることができません」と断ることが、法律違反になるんです。だけど・・・このように、肝心のサービス提供者側は、この法律を知らない。僕はこの事実が問題だと思っているんです。

今までも、新しい法律や制度ができる度に、行政とか、福祉・介護業界とか、当事者団体の間だけでワーって盛り上がっている状態が繰り返されてきたんですよね。それだけでは、意味がない。だって、何度も言うように、当事者の生活のフィールドは、食の場や楽しみの場や、買い物をしている場や、仕事をしている場だから。
飲食やレジャーやアパレルのサービス提供者や、職場の雇用者や同僚が、こういった新しい法律を知ることができて意識が変わっていかないと、世の中は全然変わっていかない、と僕はずっと思っているんです。

 

『障害者差別解消法』リーフレット-内閣府

 

 

 

~ やっと日本にも“どうやって障がいをもった人と一緒に暮らす?”と考える時代が来た ~

「いやぁ、考えさせられるものがあるなぁ。そもそも、何でそういう法律ができたのかなぁ、とか。法律によって強制されるまでになったということは、裏を返せば、今まではみんな、障がい者へのサポートをできていなかったからでしょ?じゃあ、いきなり或る日から「法律で決まりました」「拒否したら法律違反ですよ」といわれても、具体的にどうしたらいいのかがわかならい人ばかりなんじゃない?

 

――〈平間〉確かにそうですね。法律って、そこまで噛み砕いてつくられていないですから。しかも、法律が制定されて、札幌市などの条例ができて、パンフレットなどができても、サービスセンターに配布されるだけだったら、やっぱりサービス提供者に届かないですし。

そもそも何でそういう法律ができたの?という話なんですが、簡単に説明すると、時代背景の変化の流れに大きな原因があるんです。日本の福祉の歴史を簡単に説明すると、“障がい者から世の中を守りましょう”という概念から、“障がいを持った人を世の中の不便から守りましょう”という概念へと変化してきたんですよ。実は、昔は、障がいを持った子どもを隠すための座敷牢を家庭につくることが合法化されていました。また、ほんの数十年前までは、障がいを持って生まれた女性は強制的に避妊手術を受けさせてもよいという法律まであったんです。そして、山奥に障がい者を収容する巨大な施設がつくられるようになった。生まれつき障がいを持った人は、ずっとその存在を隠されてしまう対象だった

そこから、戦争によって負傷した人々を救済するために制定された『身体障害者福祉法』をきっかけに、やっと“地域で一緒に暮らそうよ”という概念に変わっってきたんですよ。日本の福祉の歴史には、このような流れがあったから、今度は、“じゃあ、どうやって一緒に暮らす?”ということを世の中が考えるきっかけとなるように『障害者差別解消法』が施行されるに至ったんだ、と僕は解釈しています

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~ 現実を具体的に変えていくために、
“気付きの光”を撒き続けることが大切 ~

――〈平間〉そして、僕はこの今の状況を、まだまだ時代遅れだと思っています。行政による法律制定や制度改革だけが先行して、肝心の“福祉介護者や当事者団体以外の人”に周知されていないのは全然よくないことです。だって、既に、すすきのでは車イスユーザーが一人で飲み歩いたりしている現実があるんです。福祉従事者だけが一生懸命に法律や制度の勉強をしているままでは、世の中は全然変わっていかないんです。
だから、こうやってメディアを通して想いを発信したり、実際に車イスユーザーと健常者とで出掛けて一緒に過ごしてみたりして、“何が違うか”“じゃあどうしたらいいのか”ということをいろんな人が考えるきっかけになるような“小さい気付きの光”を街や地域に撒き続けることが、今は大事だと僕は思っているんです。その小さい光を撒き続けたら、いつか一つの大きな光になって、街全体が輝いたら素敵だなって。

・・・この例え、うまくないです??(笑)

 

「・・・(笑)!」

 

 

 

~ どこまでが“合理的配慮”で、どこからが“強制バリアフリー”なのか、が今後の論点 ~

――〈平間〉吉井さん、『障害者差別解消法』の施行を知って、改めて、飲食店経営者としてどう思いますか?

 

「うちのお店『Bar FeeL』は広いしオールフラットだから、たまたま大丈夫だけど。あ、トイレはまだ改善の余地があるかな。でも、お店がそういう規格じゃなかった場合、実際はお金の問題が絡んでくるからね。助成金制度も一緒に整えてくれれば、みんな喜んで取り組めると思うけど・・・

 

――〈平間〉そうですよね。だから、この法律で言われているのは、“「合理的配慮」をしましょう”っていうことなんですよ。例えば、“車イスユーザーが段差を昇り降りするときの手伝いを毎回はできないなら、スロープをつけてみましょう”とか、“地下鉄で通勤している精神疾患を持つ従業員さんがいるなら、朝の通勤ラッシュを避けられる時間帯に出勤してもいいようにしましょう”とか。
だからきっと、これからは、“どこまでが「合理的配慮」で、どこからが「強制バリアフリー」なのか”という線引きが難しい問題になってくるのかなぁ、と思ってます。

 

 

 

 

 

今週のスポットライト!

友達

 

「そうだね。それに、地下鉄通勤の時間帯に融通を利かせる例の話だけど、その時その時で実際はどうなるかなんてわからないからね。もしかしたら、通勤ラッシュを避けてたつもりでも、たまたま混雑する時間に当たってしまう日があるかもしれない。その時に何かあっても「いや、時間帯は既に配慮しましたから」って会社が言って終わらせてしまったら、法律の意味も実際的には無くなってしまうし

 

――〈平間〉そうですよね。それに、そもそも、“法律でそうなったから、そうする”っていう考え方の順番って、本音では、なんか悲しいですよね

僕、先月、電動車イスユーザーの子と海に行ったんですよ。その子は、進行性の病気を患っているんですけど、北大法学部に通いながら、行政書士の資格も取って、仕事もバリバリこなしている子で。身体はどんどん不自由になるけど、知識と知恵でカバーしていくんだ、っていう熱い子なんです。まぁ、酔っ払ったらただの変な子になっちゃうんですけどね(笑)
で、みんなで海に行くことになって、僕はヘルパーで一緒に行ったんですけど、やっぱり車イスって砂浜に埋まって進めなくて(笑) でも、周りの人が頑張って自然にサポートしてくれて、その子は海に浸かることもできたんです
後から「小学生ぶりに海に行けて嬉しかった」ってメールをもらったんです。車イスだから、海で楽しむことを諦めていたんだって。でも、周りの人のちょっとした配慮があれば、できることが他にもたくさんあるんだって改めてわかった、良い機会になったみたいです

 

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「車イスでも海に行けるんだ、ってわかってよかったね。周りの人も、一緒に海に行けるんだってわかったから、これからは普通に誘うようになるだろうし。今までは、誰も車イスで海に行ったことがないから情報がなくて物怖じしてたのかな。もしかしたら、“車イスで海に行くなんて”って思い込んで、“行けるかどうかわからない”“行った先はどうしよう”とかいう考えや疑問さえ生まれない状況だったのかもしれないね」

 

――〈平間〉そもそも車イスユーザーの友達が身近にいないと、どうやったら出掛けられるのかと考えたり知ったりするきっかけも生まれないですからね。そういえば結-Yu-ちゃんも、最近、車イスユーザーの友達と一緒に花火大会に行ってきたんだよね?

 

――〈結-Yu-〉そうなんです。現地集合のメンバーもいたので、電動車イスユーザーの友達と二人きりで待ち合わせたんですよ。私、浴衣姿だったんですけど(笑)、その子のこと抱き上げて助手席に乗せて、電動車イスもバッテリーを外したら重心が取りやすくなったので持ち上げられて、車のトランクにちゃんと積むことができたんです。現地に到着したときも、車イスもその子もちゃんと車から降ろすことができました。

そして、花火大会が終わった後は、また車で移動して、すすきのに飲みに出たんです。その時にね、その子に「僕、障がいがあるのに、一緒にエンジョイしてくれてありがとう」って言われたんです。でも、私、「それは違うよ」って言って。「“私が”キミと一緒に語ったり遊びに行ったりしたかったから、そのために必要なことだったから、私は担ぎ上げることだってやりたかったんだよね。私がそれをやることで、一緒に花火を見に行けます、飲みに行けます、っていうんだったら、“私が”したいんだから、やらせてよ」って感じだったんですよね。

 

「結局、関係性なんだよね」

 

――〈結-Yu-〉そう!そう思いました。昔、保育士の資格を取るために、障がい者施設実習に行ったんですけど、その時は、「この人たちは障がいのある利用者さんだから、絶対に優しくしてあげなきゃ、助けてあげなきゃ、やってあげなきゃ」って義務感がすごいあったんです。おじいちゃんにお尻を触られても「怒っちゃいけない」って気持ちがあって、逆に、自分が人間じゃなくなっちゃったような気分に陥っちゃって。でも、花火大会に行ったときは、全然そんな感覚にならなかったんですよね。

 

――〈平間〉実習のときは“福祉があって、人がいる”っていうカタチだったから、人と接してる感覚じゃなくなっちゃったのかな?

 

――〈結-Yu-〉そうかもしれないですね。だから、私は、敢えて“福祉従事者”じゃなくて自分はよかったなぁ、って思ってます。なぜなら、“自分がしたいから、してあげたいから”っていう気持ちで、素直にそれができる立場にいるから。“一緒に過ごしたいから、これからも一緒にどこかに遊びに行きたいから”自然に知識や知恵がついてくるし。介助も配慮も、自然にできるようになってくるし。
平間君のいつも強調してるキーワードを借りると、私は“生活の場の中に福祉の知識を生かす関係が築けてる”から、“個人対個人”でその子と向き合って過ごせる環境でよかったなって思ったんです。そう思ったときに、過去の実習のときとの気持ちの違いにも整理がついて、スッキリしました。

 

――〈平間〉吉井さんは、飲食業を通して障がいをもっている人々と接して、そんな自然な感覚になったりすることはありますか?

 

「基本的に“お客様”として考えると、障がいがあろうとなかろうと、店として譲歩したり我慢したりするところは当たり前にあると思う。でも、プライベートでは“人対人”だと思う。変な意味じゃなく、“気を遣わない”で接するのが普通なのかな、って」

 

――〈平間〉そうそう。“この障がいをお持ちの方には、どう接して差し上げればいいのだろうか?”って自ら身構えて壁をつくってしまう人もいますからね。

 

――〈結-Yu-〉あ、あと、私、身構えないようにしたいし、当事者側も、“障がいを振りかざさないで”欲しいなって思うところもあるんですよね。申し訳ないんですけど、今までの人生で“自分は障がい者なんだから、お前はこうするべきなんだ”という態度の人に出逢ったこともあって。私も人間だから、そういう態度をとられると、当然、不快に思ってしまうんですよね。
でも、もしかしたら、その前の段階で、お互いのパーソナリティを知り合える機会があったら、感じ方も違ったかもしれないとも思えたりして。

 

――〈平間〉気持ちはわかるけど、もうちょっと言い方あるんじゃない?みたいな?

 

――〈結-Yu-〉・・・いや、「自分でできるしょ(笑)!」とか(笑)

 

「その方が楽しいよね(笑)」

 

――〈平間〉いろんなものを抱えてる人も中にはいるけど、もし普段から当たり前に言い合える関係になっていたら、そっちの方が気持ち良い場合もあるよね(笑)

 

 

最後はまさかの平間氏による真面目な締めで本日の激熱討論は終了~!!!

 

 

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と、まぁ、

法律や制度、そして福祉の歴史に触れたり、人と人との関係について語ったり、「BabyMetal」の曲が流れたりと、話が多岐に渡って盛り上がった第6回放送でしたとさ。

ガチフク!次回のテーマは!

remember the 福祉×介護

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