放送報告

【第3回放送~福祉×スポーツ~】「10年前の悔しさは、日本一に輝く今へ走るために必然だった」 車椅子アスリート 新田のんのさん

2017/03/15

第三回放送ゲスト新田のんのさん

 

「ガチフク!」第3回目は、車椅子スポーツ暦11年、昨年の国体覇者となった車椅子アスリート新田のんのさんをゲストにお招きさせていただきました。新田さんは、デザインの専門学校に通う傍ら、昨年の和歌山国体において、車椅子陸上競技2種目(100mと1500m)に出場し、見事に優勝。日本一に輝いた本物の車椅子アスリートさんです。

そして新田さんは、先月開催された「さっぽろトリム&ラン」(先週のゲストとしてお越しいただいた石黒会長の会社である株式会社アイ・サムが企画・運営そして計測をしている大会)においても、健常者ランナーと車椅子ランナーが同時に走ってタイムを競う「ラン10kmの部」に出場
長い上り坂を乗り越え、走行中に泥よけのネジが取れてしまうというハプニングも乗り越え、最後の下り坂で本格派健常者ランナーを次々と追い越し、見事に優勝を手にしました。ネジが取れてしまった原因は「スピードをつけすぎちゃった(笑)」とのことです(笑)

どれくらいスピードを出していたのかというと、15km/h以上。それは、全力で漕いだ自転車くらいのスピードです。

「僕も前日にテスト走行したけど、10km/hくらいで車椅子が左右にブレはじめるよね。危険を感じたら、車椅子は素手でブレーキをかけるしかないから、火傷しちゃったよ・・・」という平間氏に対し、
手は添えるだけです。スピードは殺してません」と笑顔で答える新田さん・・・さすが、全国覇者はレベルが違います(笑)

 

 

 

 

Change the view!
~福祉×スポーツ~

 「車椅子マラソン&車椅子クロスカントリー」

~ 車椅子暦19年。生まれたときから車椅子生活 ~

新田さんは、年齢=車椅子暦19年の、ベテラン車椅子ユーザーです。ちなみに、ベビーカーに乗る時期は、バギーを使う人もるのだそう。バギーとは、座位を適切に保つために設計され、座位を快適に保つための機能が備わったベビーカーのようなものをいいます。

第2回放送資料バギー

そして、新田さんは現在、ピンクのフレームに花柄タイヤという、可愛らしい車椅子に乗っています。

 

普通学級に通っていた小学校の頃、周りの子に「自分も車椅子に乗せてよ~」とせがまれ、「じゃあ膝に乗せてあげるね」と言った新田さん。そのまま坂道を猛スピードで下り、大転倒した思い出があるとか。また、友達が車椅子を押してくれたものの、加減がわからずに勢いがつき、このときも大転倒。

一瞬ギョッとしてしまうような話ですが、大笑いしながら思い出を話してくれる新田さんを見ていたら、「生まれたときから車椅子生活をしていたら、転倒することだって当然あるものだよね」と、なんだかほっこりしてしまいました。

私たちは、大人になってから車椅子や障がい者の人と接する場面に初めて遭遇すると、「特別なお手伝いが必要なんだろうな」「何も知識がないのに声をかけて、失礼な展開になったらどうしよう」と、どうしても身構えがち。幼少の頃から新田さんと過ごした子どもたちは、そんな余計で無駄な緊張なんかせず、新田さんと無邪気に戯れて、全力全快で楽しんで遊んでいたんでしょうね。

 

 

 

~ 国体優勝に至る人生へと変わった瞬間。悔しかったマラソン大会 ~

 

そんな小学校時代、とある出来事が。健常児と一緒になって体育の授業にも参加していた新田さん。徒競走では、いつも最下位。マラソン大会でも、最下位。小学校3年生のマラソン大会の後、ついに新田さんは、発達医療センターの先生に、悔しい気持ちを打ち明けます。すると、「車椅子マラソンというものがあるんだよ」と、新田さんの人生を変える運命の言葉が先生の口から出てきたのです。

新田さんは、さっそくその年から車椅子マラソンのショートレース(3km)に出場。中学校3年生からは、競技用車椅子に乗り、ハーフマラソンに出場するようになりました。競技用車椅子は、長い三角形のフレームに、前輪1つ、後輪2つがついている、車高の低い車椅子ですハンドルがついていて、曲がるときは強めに打つとハンドルが固定されるようになっています。合宿の際は、この競技用車椅子で列になって車道を走って移動するので、なかなかすごい光景になるのだとか。

 

第2回放送資料レース用車椅子2第2回放送資料レース用車椅子3

 

 

そして、数々の挑戦と実績を積み重ね、ついに、昨年2015年に開催された和歌山国体では、100mと1500mの2種目において優勝者となったのです。つまり、新田さんは、日本一の車椅子ランナーの一人まで上りつめたのです。両親、友達や周りの知り合いみんなが大喜びしてくれたそうです。通っている専門学校も、大きな垂れ幕をつくって祝福してくれたそうですよ。

もちろん、メダルを持って発達医療センターの先生に報告。「とても喜んでくれました」と言う笑顔満開の新田さん。その発達医療センターは16歳までが対象の機関だとのことで、数年前から通うことができなくなってしまっていた場所。成長して離れてしまっても、努力し続けて結果を出し続けた新田さんが、国体優勝の報告でメダルを見せに逢いに来てくれたなんて、そのきっかけの言葉を発した先生にとっては、他の誰よりも感動の気持ちが込み上げてくる、嬉しくてたまらない出来事だったでしょうね

 

 

 

~ 冬はクロスカントリーも。夏季も冬季も大活躍の車椅子アスリートに ~

 

新田さんは、小学校4年生の頃からアルペンを始めるなど、冬のスポーツも満喫しています。現在は、クロスカントリーが一番好きとのこと。最近は、車椅子に乗ったままストックで漕いで進むという自主練習を公園で重ね、冬に向けてスキルを極めているそうです。

車椅子マラソンとは、使う腕の筋肉が違うんです。マラソンは腕の下、スキーは腕の上の筋肉が大事なんです」と語る、可愛い顔をした19歳の車椅子の女の子・・・(笑)
確かに、腕の筋肉を触らせてもらうと、男子顔負けの太さと硬さ。さすが、全国覇者の貫禄を感じました(笑)

 

 

 

ところで、アルペンとクロスカントリーでは、使用する機器が違うそうです。アルペンは、チェアースキーという、椅子の下に大きな1枚のスキー板がくっついているタイプ

 

第2回放送資料チェアスキー2

第3回資料チェアスキー3

 

 

 

クロスカントリーは、シットスキーという、椅子の下に普通のスキー板が2枚くっついているタイプを使用するそうです。

 

第3回放送資料シットスキー第3回放送資料シットスキー2

 

 

調べてみると・・・なるほど。

 

 

それにしても、足を使えないなんて、やっぱり怖そう。「怖くないの?ブレーキはどうやってかけるの?」と質問すると、「ストックでブレーキをかけます。最初の頃は、先生に後ろから紐でひっぱってもらって止まっていました。曲がるときは体重移動で曲がれます。全然怖くないですよ。楽しいです」と、テンション高めの声でまたも笑顔満開の新田さん。

そして、「・・・スピードが好きなの?(笑)」と聞く平間氏に対し、「めっちゃ好きです(笑)」と即答・・・さすが、やっぱり日本一に輝いた人は違います(笑)

 

 

 

 

今週のスポットライト!

 障がい者スポーツ

 

前回のこのコーナーでは2020年に開催される東京パラリンピックにスポットを当てました。今回は、障がい者スポーツについてもう少し掘り下げてみましょう。

パラリンピックでは22競技の障がい者スポーツが実施されますが、世界には30種目以上、もしかすると40種目以上の障がい者スポーツが実在しています

新田さんは、陸上、アルペン、クロスカントリーの他、車椅子テニス、バイアスロン、カヌーも経験したことがあるそうです。ちなみに、道内では、車椅子で出場できる陸上の大会は7つ以上はあって、公式記録として残せる大会も2つあるそうです。全国大会に繋がる大きな大会も1つあるそうですよ。

 

 

 

車椅子テニスは、テニス用車椅子に乗って行われます。実は、そのテニス用車椅子、簡単に回転してしまうため、コントロールが非常に難しいとのこと。

更に、平間氏お決まりの「腕が4本ないと無理です!ラケットを持ったら車椅子を漕げない!車椅子を漕ぐと、ラケットで打ち返せない!」 ・・・(笑)

 

第3回放送資料テニス用車椅子2第3回資料テニス用車椅子3

 

 

 

 

また、車椅子バスケットボールも、バスケットボール専用の車椅子があるそうです。普通にぶつかり合って転倒したりする激しいゲーム展開が繰り広がられるとのこと。

 

第3回資料バスケットボール用車椅子3第3回放送資料バスケットボール用車椅子4

 

 

 

そして、障がい者スポーツの各競技では、医師の判断による「障がいの区分」によって、出場できるレースのクラスが分けられているのだそう。例えば、車椅子陸上では、上半身を動かせる人、上半身を動かせない人、腕しか動かせない人、の区分に準じてクラス分けされるそうです。

車椅子バスケットボールの場合は、足首から下だけが動かないという人も、逆に、腕だけが動くという人も同じチームに混在できます。が、障がいの区分に準じて各々のメンバーに点数が付けられており、チーム全員での合計点の上限を定めることによって、公平性へと繋げているのだそう。その各々の点数も、医師の判断によって付けられるそうです。

障がい者スポーツにおける公平で正当なルールの運用には、医師による判断という、医療分野の支えが必要なんですね。

 

 

それにしても、障がい者スポーツには、意外とたくさんの種目が存在しているのですね。次に、体育館やテニスコート、プールサイドやゲレンデに行った際に、周りをよく見てみると、障がい者アスリートや、スポーツを楽しむ障がい者の人たちがいるかもしれませんよ。

そして、もしかしたらその人たちは、貴方より俊敏に動くことができ、貴方よりもそのスポーツのスキルが遥かに上かもしれません(笑)

 

 

 

 

ガチフク!次回のテーマは!

remember the 福祉×介護

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